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感想「殺しのパレード」

「殺しのパレード」 ローレンス・ブロック 二見文庫
殺し屋ケラーもの3作目。短篇連作を、長篇のような形に繋ぎ合わせたもの。
ケラーって、嫌なやつではないけども、決して義賊でもなく、依頼された殺しは、相手がたとえ好感の持てる人物だろうときっちり遂行するという、かなり微妙なキャラクター設定。それを、各篇必要以上に後味を濁さず、シリーズキャラクターものとして書けるのは、ベテラン作家ブロックの職人芸だと思う。
ただ、元々は、依頼に含まれる謎を解いたり、困難に思える状況でアイディアを駆使して殺しを遂行したりという、探偵物の変格のような形で構想されたシリーズだと思うのだけど、ケラーのキャラが成熟してくるにつれて、殺しそのものの事件性よりも、ケラーの物の考え方に力点が移ってきている感がある(旧作を読み直して確認してはいないので、記憶違いがあるかも知れないが)。あとがきで訳者が、ケラーの心の揺れがはるかに大きくなっている、と書いているあたりと同じことだと思う。本書では、「鼻差のケラー」の曖昧な結末なんかが象徴的だし、最後の2篇のある種の愛想なさもそう。それは、ミステリ的な面白さが薄れる方向のわけで、だからといって、重厚に人物を描き込む類いの小説でもないから、ブロックの語り口の巧さは認めるけれども、小説として薄味に思えて来てしまうのは否めない。まあ、本書に関しては、構成の巧みさもあって、ひとつの作品の薄さは、そんなに目立ってはいないけど。というか、本書を短篇連作の形を取った長篇と考えれば、ひとつひとつのエピソードが、独立してそんなに厚い必要はないのかも知れないけどね。特に最後の1篇なんかは、あくまでも長篇として完結させるための付足しなので、これだけでは意味を持たないし。
(2007.12.19読了)

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