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感想「ゴーレム100」

「ゴーレム100」 アルフレッド・ベスター 国書刊行会
タイトルの100は乗数なので、本当は小さい字にして、肩に乗せないといかんのだけど、そんな面倒なことは…(^^;。

分厚いし、えらく晦渋な小説だったりするんだろうかと恐れをなしてたところもあったが、読んでみたらそんなことは全然なくて、むしろポップ。
去年、「コンピュータ・コネクション」を読んでいるんで、やっぱりそれとの比較で考えてしまうけど、方向性としてはあれとよく似ていて、いろんなキャラといろんなストーリーが同時進行で進んでいたあちらに比べると、むしろこちらの方が、小説としての構造は、分かりやすいくらいかも知れない。ただ、文章のぶっ飛び方が…。もっとも、こればっかりは、どれだけ凄い翻訳だと言われても、原文で、しかも充分理解出来る能力を持った上で読まないと、本当の所は分からないはず。相当凄い代物なんだろうなと想像するしかない。まあ、ウィリアム・ギブスンだって、本当はそういう物なんだろうと思う。俺がギブスンを好きなのは、かなりの部分、黒丸尚の翻訳が好きだと言ってるのと、同じことなんだろう。

ギブスンということで言えば、「コンピュータ・コネクション」もそうだったけど、登場人物や背景の作り方・置き方は、サイバーパンクへの影響がはっきり見える。というより、俺が読んでた範囲(そんなに広くはないが)では、ベスターよりぶっ飛んでるサイバーパンク小説って、ギブスンも含めて実はないかも知れない。「SF」の外側にも立脚点を持った作家だから書けた小説だったのかな。サイバーパンクも、当時、それまでの「SF作家」に比べての、ジャンル外への関心の強さ特徴として言われていたように記憶しているが。

途中で、派手なアイディアをいろいろぶち込んで、グラフィックを使ってみたり、文章の実験も過激とはいえ、おハナシとしては、案外古典的な所に落ち着くのかもしれない、と思ったんだけど、そんなに素直なものではなかった。ネタバレぽくなってもつまらないんで、書かないけど、読み終わった後のインパクトは、「コンピュータ・コネクション」を凌いでる。これは確かに「最狂」かも。

ただし、文体の問題もそうだけど、ベスターが下敷きにしているいろんなものの知識が充分にないと、この小説についてほんとに分かってるとは言えないだろうなあ。そういうもどかしさみたいなものはある。
(2008.2.9読了)

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