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感想「水滸伝」16

「水滸伝」16 北方謙三 集英社文庫
幕間、という雰囲気の巻。それでも容赦なく、ビシバシ人は死ぬけども。梁山泊だけでなく、宋側も。

梁山泊が掲げる志というものと関係なく、やむなく梁山泊に入った人間たちの気持ちってのもあるはずだよな、ということは、以前から思ってて気になっていた。家族を伴って参加している人物もいるわけで、その家族たちの誰もが、志に全てを賭けているなんて考えられないことだし、その辺がほとんど書かれていないが、それはかなり嘘っぽい、とも思っていた。この巻では、そこをかなり描いて来ているし、108人の中にすらある(あって当り前な)志への疑念や人間的な弱さについても書いている。もしかしたら、そういう所が原因になって、梁山泊は潰えていくという展開をたどるのか?、と思うくらいだ。そういう意味では、確かに、そういう部分を、あまりにも早い段階で露にしてしまうと、梁山泊がここまで発展して来る話は書きにくい。そこいらも計算した上で、北方は構成して書いているのかも知れない。
とはいえ、そういう面が描かれたことで、話にもうひとつ広がりが出て来たように感じたのは確か。

吉川晃司の解説が、破格でイカしている。ここまで16冊の中で、一番印象的。どうせ内容的に意味がある解説なんて、ふたつみっつくらいしかない(そもそもそれ以上は必要ない)んだから、これくらいキレた解説の方が、むしろいいんじゃないか。にしても、この人選はビックリした。
(2008.1.26読了)

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