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感想「恐喝 シンガポール・ウィンク」

「恐喝 シンガポール・ウィンク」 ロス・トーマス 立風書房
読んだんだがどうだったか、よくわかんなくなってた長篇。覚えてないんだからいいやと思って、読んでみた。読んでると、所々、既視感のある場面があるんで、やはり読んだのかなと。でもストーリーの全体像はオチも含めて忘れていたから、別に構わなかった。面白く読めた。

同僚を事故で死なせて、トラウマを抱えつつ暮らしていた元スタントマンが、実はその同僚が生きていることを知らされ、追跡することを強いられる話で、そんなに手が込んだプロットではないが、きっちり作られていて、あまりとりとめのない感じはしない。サスペンスとしてまとまってる。(レナードとかのとりとめの無さも嫌いじゃないんだけどさ)
ただ、やはり一番の魅力は登場人物の存在感。一人ひとりが印象的。それほど出番がない人物にも、強い印象を残す場面を与えている。パルミサノなんか、凄くいい場面を貰ってるよなあ。くどくど書かない、さりげない人物描写で、これだけの存在感を出せるトーマスの巧さを改めて感じた。あざとくないユーモアのある文章もいい。トーマスを久々に読んだが、やっぱりいいなとしみじみ思う。

もっと掘り下げられそうな人物やエピソードがあちこちにあるのに、枚数の関係もあるのか、深追いせずに流してしまうあたりに、やや物足りなさはあって、あっさり終わり過ぎてる感もある。ただ、書き過ぎないというのが、この作家の持ち味なのは確か。それが余韻になってもいる。

中盤以降の舞台はシンガポールになる。エキゾチックな雰囲気も悪くない。
(2008.2.16読了)

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