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感想「私のハードボイルド」

「私のハードボイルド」 小鷹信光 早川書房
著者が、ここまでの人生における、自身のハードボイルドとの関わりを語った本。
エラリー・クイーンをとっかかりに海外ミステリを読み始めた後、本格方面とハードボイルド・警察小説方面のミステリを齧ってみて、より共感を感じたのは後者だった。そこで、そっち方面の小説を重点的に読み始めたのだけど、その時に本を選ぶ参考にさせてもらっていた何人かのうちの一人が小鷹信光。「名探偵読本6 ハードボイルドの探偵たち」(編者は各務三郎だが、小鷹信光が大きく関わっている)とか、「マイ・ミステリー」とか、どれだけ読み返したか分からんくらいだし、その後も小鷹信光の文章はよく読んでいた。なので、本書に書かれてる自伝的な内容のかなりの部分は、どっかで読んだな、という感じがするものだったけれども、それはそれで、ある種の懐かしさを感じながら読むことが出来たし、初めて知る話も多かったから、興味深い本だったのは間違いない。

近年、ミステリ雑誌とか同人誌(一部、まだ関わってるのはあるけど)を読まなくなってしまったから、今の状況は知らないけども、70-80年代にはハードボイルドとは何か、みたいな議論が、熱心にされていたよなあ、というのを思い出した。厳密な定義なんて、どうでもいいがな、という気持ちは当時から持っていて、多分、そういう気持ちがあったから、「ハードボイルド」へのこだわりが強い小鷹信光の文章から、次第に離れてしまったんだろうな。本書も、そういう意識の固まりみたいな本ではある。
あと、この人は、日頃から、自分のことを語り過ぎると思う。まあ、本書に関しては、自伝のようなものだから、それで構わないんだけど。むしろ嬉々として書いているような印象。

小鷹信光が居なかったら(たとえば木村二郎のような、小鷹信光とのつながりで、その存在が大きくなった人たちからの影響も含めて)、自分の趣味・嗜好は、全く違っていただろうな、ということを思うと、感慨を持たないわけにはいかない。印象で済ませず、資料を集めて、実証的に論じるというスタイルについても、結構影響を受けた気がするし。今の自分を考えた時に、存在を忘れるわけにはいかない人の一人だと思ってる。
(2008.1.27読了)

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