感想「逃げる殺し屋」
「逃げる殺し屋」 トマス・ペリー 文春文庫
1984年の邦訳。当時、そこそこ評判になったはずだが、内容は全く知らない。
タイトル通り、殺し屋を追っかける話だが、この作家のことだから、それほど単純ではないだろうと思った通り、殺し屋も謎に巻き込まれ、逃げる一方で、敵を追い掛ける。その殺し屋を、さらにヒロインが追及する多重構造。
手が込んだプロットは、少しややこしくなり過ぎて、必然性や説明を欠いた部分があるように思え、逆にやや見え透いているように感じられる部分もある。ストーリーよりは殺し屋のミッションインポシブル風な立回りの方が読み所かな。そういう視点からは、かなり面白く読めた。
ヒロインや作中の登場人物に「蒸発請負人」を思わせる部分がある。これが発展してあれになったんだろうな。
内容的にはやや物足りない所もあるが、語り口の巧さで読ませるし、悪くない出来。ちなみにこの作家の1冊目だそうなので、欠点が見えるのはキャリア不足のせいもあるのかもね。
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