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感想「1421 中国が新大陸を発見した年」

「1421 中国が新大陸を発見した年」 ギャヴィン・メンジーズ ヴィレッジブックス

中国人がコロンブスに先んじてアメリカを発見していた、それどころか、南極大陸・北極海を含めた世界中を航海して、世界中を網羅した地図を作り、各地に入植もしていたのでは、ということを論じる本。今まさに、中国の国威発揚イベントが、世界中に流されている最中のわけだが、それを凌ぐような壮大な話。
ただ、コロンブス以前に中国人がアメリカ大陸に渡ってたという話は、そんなに耳新しい話じゃないと思うし、それほど大したことでも、という気が…。著者自身、調べていくうちに、そういう説が過去に唱えられていることを知るくだりがある。日本と欧米では、その辺の感覚は違うだろうな、という気はする。ただ、これは単に、中国人がアメリカ大陸に行っていた、というだけの話じゃないんで、やっぱり壮大な話には違いない。航海しつつ測量して、正確な世界全図を描き、その過程で、世界中の文明と交流し、文化と文化をつなぎ、こっちの土地の産物をあっちの土地へ移植して、という役割も果たしたというんだから。今の世界の基盤を築いたのは、中国の鄭和の艦隊の遠征だと言ってるのにかなり近い。
でも、中国なら、それくらいやるかもなあ、という気はしてしまうし、著者が書いていることを鵜呑みにしちまうのは危険だけれども、トンデモ本ではなく、それなりに理屈の通った、証拠もある説であるように思える。
それだけの壮挙が、なぜ埋もれてしまったかというと、それを推進した明の永楽帝の治世下で不吉なことがいろいろと起こり、外へ出て行こうという意欲が損なわれて、以後、鎖国状態になってしまったからだそうだ。その過程で、遠征の記録もほとんどが破棄されてしまった。
ただ、鄭和の遠征のために、巨大な船を多数建造する際に、大量の木が切り出されて山野が荒廃したとか、各地の産物を他の土地へ移植したのだって、ある意味、生態系破壊のわけで、そういうことがいつまでも続かなかったのは、悪いことではなかったのかも知れない。明のやる気が続いて、そのままどんどん突き進んでいたら、時代の流れはもっと速くなり、今みたいな時代が300年くらい早く到来していたかも知れず、あんまりそれは、人類にとって、幸せなことではないような気がするから。キース・ロバーツの「パヴァーヌ」を思い出した。
もっとも、15-6世紀に世界を支配するのが、ヨーロッパじゃなくて中国だったら、アフリカや中南米は、もっと幸せだったかも知れないけどね。その時代は、ヨーロッパなんかよりも中国の方が、明らかに文明化していたわけで、あの時代のヨーロッパ人がやったような無茶を、中国人はしなかったかも知れない。そういうことを、本書の著者(イギリス人)も書いている。
日本の立場は、また微妙だけど。今よりも強大な中国に、隣国の日本が張り合えたかどうか、という話になってくるから。まあ、あんまり意味のない、仮定の話に過ぎないんで、どうでもいい。

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