« J1リーグ第26節鹿島対大宮 | トップページ | J1リーグ第28節大宮対柏 »

感想「絶海にあらず」

「絶海にあらず」 北方謙三 中公文庫

時代物。主人公は藤原純友。藤原純友ってのも、かなり情報が少ない人物だという話を聞いた覚えがあり、解説を見ると、やっぱりそうらしい。北方はかなり自由に脹らませて話を作っているようだ。
北方の時代物は現代物と違って、志を持って動く主人公が割に多い気がするんだけど、これはちょっと違う。自分の気持ちと成行きに任せて動いているうちに、こんな風になっていった、という所があって、現代物の主人公に近い感じがする。しばしば理由を述べてはいても、何が彼をこういう行動に向かわせたのか、いまいち見えて来ない所とか、割にすげない妻子とか周囲の人物の扱い方なんかもそうだ。微妙にキャラの腰が座ってないように見えるが、いつもの少し立派過ぎるヒーロー型の主人公とはひと味違う、人間くささの要因にもなっているかな。
そういえば、華々しい合戦の場面もそんなになくて、淡々とした場面の印象の方が強い。現代物が小説のまとまりとしては、ややとりとめのない方向に向っているように見える(一方で、気取りを捨てた生々しさが目立ってきている)のと、同じ流れなのかも知れない。

ちなみに、しばらく前に読んだ別の作家の「荒蝦夷」という小説と、時代背景は100年くらいしか違っていないことに気付いた。北の人々の風俗の描き方が微妙に似通っているように感じられたのは、そのせいか。もっとも、必ずしも裏付けがあるわけではなく、そういうものだったという共通認識があるだけ、という可能性もあるが。
それと、そちらの感想を書いた時にも触れたことだが、本書を読みながら、やっぱり北方は、運命が分かっているはずの人物に夢を語らせるのが巧いと思った。

|

« J1リーグ第26節鹿島対大宮 | トップページ | J1リーグ第28節大宮対柏 »

「小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/43052719

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「絶海にあらず」:

« J1リーグ第26節鹿島対大宮 | トップページ | J1リーグ第28節大宮対柏 »