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感想「ヒマラヤ自転車旅行記」

「ヒマラヤ自転車旅行記」 ベッティナ・セルビー 東京書籍
気に入ってる叢書で、古本屋で見つけると、買って読んでる「ザ・スポーツ・ノンフィクション」の1冊。

40台後半のイギリス人女性が一人で、パキスタンのカラチからネパールのカトマンズまで4000マイルを自転車で走破した旅行記。本にコピーライト表示が全然ないので、はっきりしたことが分からないが、巻末に1983年11月という記載があり、これが原稿の完成日とすると、時期は1970年代の末くらいなんだろうか。ペシャワルの難民キャンプという記述があるので、ソ連がアフガニスタンに侵攻して以降かと思ったが、それ以前から難民キャンプは存在していたのかな。パキスタンとアフガニスタンの国境近くまで行ってるが、ソ連が侵攻していた時期にしては、風景が少しのんびりし過ぎてるような気がするので。
体力的な問題や、気候や衛生状態といった環境的な問題以外にも、女性ということで、イスラム教圏のパキスタンではかなり厳しい思いもしているし、非常に過酷な旅で、完走出来たのが奇跡とも思えるほどだ。まあ、辛い思い出の方が話は大きくなりがちなので、そういう面はあるかも知れないが。著者は何カ所かで、本当にひどい目に遭ったことはそんなになかったというようなことを書いているのだけど、読んでいると、そこいら中でひどい目に遭ってるように思えるんだよな。
それにしても、相当過酷な旅なのは確かだと思う。ヒマラヤやガンジスの壮大な風景の中を走るサイクリングというのは、憧れを感じないでもないけど、さすがにここまでしんどい思いはしたくないや。

走り切った達成感が、最後の所であんまりうまく表現出来てない気がするのは、たどりついたカトマンズや、その後、立ち寄ったヒマラヤの奥地やシッキムでの暗い面が多く描かれているからだろう。サイクリング旅行自体は、日常から離れたものだけれども、取り巻く環境に住む人々の状況の厳しさに、手放しの開放感から引き戻されてしまう。
そういう所にきっちり目を向けている所は、お気楽な旅行記よりずっといいと思うんだが、その一方で、そういう環境の中へ、のこのこサイクリングに出かけて行くこと自体、どうなんかな、ということを少し思った。著者はこの地域に特に思い入れはなくて、何となく決めてしまった目的地だし、現地の事情に通じていたわけでもなく、かなり行き当たりばったりで旅をしている。当然、自力で出来ることには限りがあって、多分に現地の人々の好意で成り立っている旅だし、そこで相当迷惑も掛けているわけで。ヨーロッパ人のアジアに対する傲慢さみたいなものを感じないでもない、という気はした。

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