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感想「カリブ諸島の手がかり」

「カリブ諸島の手がかり」 T・S・ストリブリング 河出文庫
シリーズキャラクターのポジオリ教授が、カリブ諸島を巡る間に、様々な事件に遭遇し、解決していくという連作短篇集。設定は一応名探偵物風だが、ポジオリは状況に流されているうちに、手掛りを発見して事件を解決しているような感じで、推理力に長けた探偵というわけではない。ストリブリングには、ポジオリを通して、「名探偵」という存在を小馬鹿にしているような意図があるのかも知れない。印象としては、パロディ的で、その皮肉さが面白かった。
別の側面としては、イタリア系アメリカ人のポジオリが、カリブ諸島の様々な異文化に翻弄されるような形で事件に関わっている所が、文化の衝突を感じさせ、さらにはポジオリの「アメリカ人」ぶりを揶揄しているようにも思える。なにせ、異文化に属する方が、遥かに強い個性を持った、特別な人々なので。ちなみに著者はアメリカ人。
ただ、短篇を単発で読んだだけでは、こういう狙いはなかなか読み取れないだろうな。この作家は過去に短篇を1-2篇読んでいるが、その時、ぴんと来なかったのも無理はないか。
さすがに結末にはかなり驚かされた。だったら、この後のシリーズ作品はどういう展開をしてるんだろう、と思ったが、何食わぬ顔して、そのまま続いているとか。

単純にミステリとしてみると、割と単純な話が多くて、早めに解決の見当がつくので、もうひとひねり足りない、と思う所は多い。でも、まだ先例に乏しい1920年代の小説だから。その時代のミステリとしては、ちゃんと配慮して書かれているんじゃないかな、という感じはする。

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