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感想「ホワイト・シャドウ」

「ホワイト・シャドウ」 エース・アトキンス ランダムハウス講談社文庫
アトキンスは過去2冊の邦訳を読んでるが、これが去年出たのは、最近まで知らなかった。
1950年代のタンパで実際に起きた、引退したギャングの殺害事件を題材にした小説。(ほとんど読んだことはないが)エルロイっぽい成立ちの小説だと思った。それもあって、「これぞ、ノワール」(帯の言葉)なんだろうな。もっとも、「ノワール」というジャンルの呼び方は、あんまり好きじゃないが。
ストーリーは、この事件を中心に置きつつも、真相を明らかにしようとする方向には転がらず(だって未解決事件だもの)、背景にカストロのキューバ革命を配しながら、複数の登場人物の人生模様を絡ませるような形で進んでいく。
とはいえ、それほど魅力的な人物像は居ない。舞台となっているイボー・シティは、暴力やイカサマが横行する、どんよりとした雰囲気の街なので、仮に居たとしても、くすんでしまうだろう。ストーリーにも活気がなく、途中までは、かなりつまらない小説。終盤に入り、ルクレツィア(多分、この小説の中で、一番魅力的な人物)を巻き込む銃撃戦の場面でちょっと盛り上がり、そこで弾みがついて、そのまま結構いい感じで、最後まで雪崩込んでは行くものの、物足りなさは否めなかった。エピソード一つひとつが孤立していて、話の流れが見えにくいし、ひねりも乏しい。現実の事件に引きずられてしまったんだろうか。
この作家の過去2作はブルースをモチーフにした素人探偵物(シリーズ)で、そういう体裁から受けるイメージの割には、荒涼とした所のある小説という印象があった。そこからすると、本書もそれほど遠くに来たわけではないという感じだが、内容的には前の方がまとまりがあって良かった気がする。初の非シリーズものらしいから、作家としては新しい方向性を打ち出した作品だったんだろうが。もっとも、これ以降、非シリーズものの方へ移行しているようだから、世間の評判は良かったのかな。

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