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感想「ゴースト・レイクの秘密」

「ゴースト・レイクの秘密」 ケイト・ウィルヘルム ベネッセ
この作家の長篇は、確か、SFとミステリを合わせて過去4冊読んでいて、具体的に内容を覚えてる本はないけれども、イメージは割とはっきりしてる。扇情的なところのあまりない、穏やかで理性的な作風。それとフェミニズム。記憶違いはあるかも知れないが、少なくともこの本は、思っていた通りの内容だった。
地方の判事を務めていた夫と死別した後、その職務を受け継いだ女性判事が、父の謎めいた死と、それに続いて起きた、父が調査を依頼していた私立探偵が殺害される事件に関わる話。タイトルの”ゴースト・レイク”は、事件が起きるオレゴンの田舎町近くの、水が涸れた湖の名前で、湖畔のゴーストタウンがこの小説の主要な舞台の一部になっている。
オレゴンの田舎の風景がくっきりと描かれていて、それを読むだけでも穏やかな気分になる。事件そのものは、そんなに穏やかでもないが、淡々と綴られているので、そうした雰囲気を変えるには至らない。静かな小説という印象。
事件の真相は最後まで隠されているものの、結構早い段階で見当はついた。それでも、最後まできっちり構成されていて、展開で読ませる。主人公の内面もよく描かれていて、事件の真相以上に、それが小説を引っ張っている。主人公は、結婚や出産によって、特に自覚なく自身の優秀な能力を埋没させて来た女性。事件を探るうちにそのことに気付き、呪縛から解放されていく。このあたりは、いろいろと考えさせられる。この小説では抑圧する側として描かれている男の立場としては、内容と照らし合わせて自分を省みたりしたわけだが、この本を読んで感じるものは、女性の方がたぶん多いのだろうな。
意識的な抑圧ではなく、無意識の抑圧をテーマとしていることが、この小説に重みを加えている気がする。

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