« ACLグループL第2節 名古屋対北京 | トップページ | イースタンリーグ ヤクルト対ロッテ(3/20) »

感想「凍った太陽」

「凍った太陽」 高城高 創元推理文庫
先日の「墓標なき墓場」が結構面白かったので、読んでみることにした短篇集。
この作家について、日本のハードボイルド作家の草分けの一人という予備知識と、「墓標なき墓場」の印象も込みで、一般的に考えられているハードボイルドの型みたいなものに則った小説を書くのかな、と思っていたが、この短篇集を見ると、話の枠組や登場人物の言動は、案外そうでもない。もっと幅の広い作家のようだ。トリックを作り込んでいるものもあれば、人物の内面を掘り下げることに重点を置いているものもあり、「廃坑」のようなちょっと毛色の変わった短篇もあって、単純にひとくくりには出来ない感じ。
もしかして、「ハードボイルド作家」というのは、後付けのレッテルなのかな、とも思ったが、巻末に収録された著者のハードボイルド論を読むと、そんなことはなくて、ハードボイルドを書くことに充分自覚的だったようだ。ただし、そのこだわりは形式にではなく、初期のヘミングウェイの小説を、本質的な部分で目指すようなことを考えていたみたい(あくまでも初期らしく、「老人と海」のことを、「人間のいない海で大魚と格闘するだけ」とか書いている)。それはかなり成功しているように思えるし、結果として、あまり古びた小説になっていない。風俗は当然、昔のものだけど、描かれている人間像には普遍性を感じる。 80年前後に続々と出て来たハードボイルド・冒険小説系の作家たちの短篇と並べても、あまり違和感がないと思う。先駆的な作家だったんだな、と思った。

|

« ACLグループL第2節 名古屋対北京 | トップページ | イースタンリーグ ヤクルト対ロッテ(3/20) »

「小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/44421159

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「凍った太陽」:

« ACLグループL第2節 名古屋対北京 | トップページ | イースタンリーグ ヤクルト対ロッテ(3/20) »