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感想「墓場なき野郎ども」

「墓場なき野郎ども」 ジョゼ・ジョバンニ ハヤカワポケミス
ジョバンニを初めて読んだ。フランスのこういうのは合わない気がすると思って、ずっと敬遠していたが、近年、マンシェットとかを面白がって読んでいるので、今ならイケルかもという気がして来ていた。

かつての大物ギャングが、失敗して妻と親友を失い、生き延びるために、昔のつてをたどって、パリに舞い戻って来る話。話の大筋は悪党パーカーのようなものだが、あれほど様式化されていなくて、ずっと生々しい。主人公(たち)は、気取っているようでいて、最後の所ではそれは許されない。因果応報とか、そういうものではないけれども、あくまでも犯罪者が外れたことをやっている、という所から逃れることは出来ないし、そこでもがく格好の悪さは、スタイリッシュなだけの犯罪小説にはないものだな。今まで読んだ本の経験から、フランスのこういう小説だから、あくまでも格好の良さにこだわる意識が強いんじゃないかなと思っていたので、少し意外だった。
ただ、そういう生々しさ、人間臭さは、読んでいて心に響くけれども、ちょっとクサくもある。なまじリアリティがあるだけに、主人公の側の勝手な理屈が気になったりもする。娯楽小説として読む分には、スタイリッシュ一辺倒な犯罪小説の方が気持ちに負担がかからなくて、読みやすいかも知れない。

ジョバンニの小説の岡村孝一の翻訳が賞賛されているのを何度か読んだことがあるが、確かにこれは独特なタッチ。一人称がどんどん入れ替わりながら、滑らかに流れて行く。原文の持ち味を生かしているのかどうかまでは分からないけれども、少なくとも原文をきっちり消化した上で構成されている、見事な翻訳という印象。使っている言葉自体は、一時代前のヤクザものみたいな感じだけど、小説そのものがそういう内容だからね。

ちなみに、これを先に読んでいたら、北方謙三の小説の受け止め方が、少し違っていたかも知れないと思った。北方の小説で、こういう感じの文章や描写を読んだ覚えがある、という部分が、ところどころにあった。内容的にも近い所があるし、影響を受けてないということはないだろう。

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