感想「ビッグ・フィッシュ」
「ビッグ・フィッシュ」 トマス・ペリー 文春文庫
武器密輸商人のカップルと、事件をきっかけに彼らと関わりが出来た映画プロデューサーが、日本向けの拳銃密輸の商談を進めていたら、突然命を狙われ始め、反撃に出るという話。話そのものは、殺し合いの場面が多かったり、結構殺伐としてるが、ユーモラスな雰囲気のサスペンス。テンポも良いので、すっと読めてしまう。
登場人物のキャラクターがいい。ハードボイルドだけど人間味のあるカップルもいいが、ある意味、危険な状況に巻き込まれちゃった立場の映画プロデューサーが、最初はオロオロしていたのが、だんだん楽しみ始めちゃって、堂々としてくるあたりが面白い。脇役にも面白いキャラが居るし(プロデューサーのつながりで、さらに巻き込まれる映画監督とか、カップルの家の管理人とか)、シリーズ化出来れば、なんてことも考えていたんじゃないか、という気がする。
話としては、後半が弱いように思える。前半は設定の面白さが生きてるが、その先は、主人公たちが思うように話が進みすぎる感じ。気楽に読めるという意味では悪くないが。考えてみると、ここまで読んだペリーの本は、みんなそんな所があるかな。「アイランド」では、そういう部分がいい方に働いて、おとぎ話のような楽しさにつながっているけれど。
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