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感想「死への旅券」

「死への旅券」 エド・レイシイ ハヤカワポケミス
2日前に古本屋で見つけた。「ゆがめられた昨日」とか「褐色の肌」とかを読んだ頃に、一応探していた本だけど、それほど力を入れていたわけでもなく、そのうち忘れて久しかったが、頭の中のどっかには引っかかってたみたい。一旦素通りした後、待てよと思って、引き返したからね。

この作家のイメージ通りの小説だった。もっとも、既読作はどれも、読んでから少なくとも10年は経っているはずで、自分の中に、イメージしか残ってないという方が正しいが。
プロットよりは、人物像を描くことの方に、この作家の関心はあるように思える。第二次大戦終了から近い時期でないと、あまり実感の湧かないものとはいえ(本書は1955年刊)、ちゃんとしたプロットはあるが、その解明をストーリー進行の推進力にせず、惜しげもなく、どんどんネタを割ってしまう。それよりも著者が力を入れて書いているのは、妻と死別し、養女を男手ひとつで育てている主人公の私立探偵の日々の暮らしや気持ちのありようだったり、事件に巻き込まれる関係者の人間像だったり、被害者や犯人のここまでの生き方だったりする。それはそれで興味深く、登場人物の描き方の暖かさには安らぎみたいなものを感じる。こういう、楽な気持ちで読める小説って、80年代あたりから以降、随分減ったような印象を持ってるんだけど、どうなんだろう。翻訳小説は紹介される傾向みたいなものもあるから、一概に言えないとは思うが、たとえば87分署シリーズなんかも、ある時期以降、殺伐とした雰囲気がどんどん濃くなってた。それはアメリカの実社会の反映だったんだろうな、やっぱり。
本書に関しては、それでもさすがに、簡単にネタを割り過ぎのように思え、終盤のひねりにも乏しく、これで終わり?という肩透かし感が残ってしまったのは否めないかな。
さすがに翻訳が古かった(1957年刊)。文章もそうだけど、「スーパーマーケット」に注釈が付いてるんだもんな。

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