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感想「遺志あるところ」

「遺志あるところ」 レックス・スタウト 「EQ」
ネロ・ウルフもの。第二次大戦前に書かれた最後の長篇。
ペーパーバックでは読んでいたが、あまりちゃんとした感想は書き残していなかった。その後、「EQ」で邦訳されたのも読まないままでいたが、なんとなく手が出たので、読んでみた。

狩猟事故で死んだ男の遺言状が、遺産の大半を愛人に残すというものだったことから、遺族がウルフに対応を依頼に来る。金に困っているウルフは、あまり手を出したくない類の事件だったにもかかわらず、引き受けることにするが、男の死が、事故ではなく殺人だったことが判明し、事態は一変して、騒がしくなるという筋書き。
死んだ男の未亡人が、夫の過失で顔面に大きな傷があるということで、常にヴェールを被っている。これは人物の入替トリックがあるな、と思っていると、一応、それっぽいのはあるが、ささやかなもので、あっさり流してしまうあたりが、いかにもスタウト風。
そのあたりは覚えていたが、全体的には内容をほとんど忘れていた。作品の順番で考えると、これの前4作は割と異色作ぽいのが続いており、本書で久々に基本のフォーマットに戻った感がある。ただ、プロットは薄い感じがする。結末の切れ味は鮮やかだが、そのために終盤、アーチーを真相から隔離する展開にしているのが、かなり露骨に感じられ、そう感じられてしまうのは、やはり構成が弱いということなのかな、と思ったりした。基本フォーマットで書き続けることに限界を感じて、「料理長が多すぎる」以降の変則作品群が書かれたんじゃないだろうかということを、近年、漠然と考えているが、回帰した本作がこういう内容だったことでも、それが裏付けられるかも知れない、と思った。
ちなみに、アーチーは決定的な手がかりに気付いていなかったので、その部分の記述はなく、従って、読者に対し、フェアプレーな謎解きで書かれてはいない。

そうはいっても、ネロ・ウルフ小説としては、充分に面白かったが。滞在していた家で殺人が起きた時のウルフの逃げっぷり、ウルフとアーチーの暗黙の了解で成り立つ会話の楽しさなど、そういう観点での読みどころはいろいろ。
フリーランサーの探偵たちは、ソール、フレッド、オリー、ジョニーと揃い踏み。フレッドが料理に酢を掛けて、ウルフ邸に出入り禁止になったというエピソードが、過去の出来事として語られている。

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