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感想「なぜ世界で紛争が無くならないのか」

「なぜ世界で紛争が無くならないのか」 増田弘(監修) 講談社+α新書
世界に今ある代表的な紛争7つを取り上げて、背景を説明したもの。元々は大学の市民講座として行われた講演会をまとめ直したもののようで、それらしくお手軽な内容だけど、とりあえず、それがどういうことなのかを知るには充分な感じ。ちなみに、取り上げられているのは、
 ・アラブとイスラエル
 ・アメリカとイラク
 ・朝鮮半島
 ・中国と台湾
 ・日本と中国
 ・ルワンダ
 ・東ティモール

テーマごとに書き手が違うし、切り口もまちまちだけど、おおむね共通して感じるのは「国家」とか「民族」というもののバカバカしさ。そうはいっても、それを単位にして世の中が廻ってる以上、そこから逃れるわけにはいかないが、確固とした不変のもののようなふりをしてる国家とか民族が、いかにも薄弱な根拠の上に出現して、それが原因で紛争が起きている例がどれだけ多いかということを感じる。
これだけ多くの人間が、どんどん相互の距離が近くなって行く中で生きている状況で、「国家」みたいな単位抜きで、利害を調整して共存していくのは不可能だろうとは思うけれども、その「国家」が逆に対立も生んでいる構図は皮肉。それを避けるには「国家」を相対化して見るという意識が不可欠なように思えるが。単なる利害調整のための装置として割り切って、「国の誇り」「民族の誇り」みたいなものを変に振りかざさない。少なくとも普通の人間にとっては、そっちの方が暮らしやすい世の中になると思うんだけど。権力に近い立場の人間が、安易にそんなことを言う時は、そいつは信用しない方がいいと思う。

ただ、「民族」が原因で紛争が起きているというよりも、人間の本能的に、紛争を起こしたいために「民族」が生まれている面は、もしかしたらあるのかも知れない。だとしたら、「世界で紛争が無くならない」のは当り前、ということになってしまうが。

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