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感想「タンゴステップ」

「タンゴステップ」 ヘニング・マンケル 創元推理文庫
出てからだいぶ経ってるが、ようやく読んだ。例によって予備知識無しで読んだもので、ヴァランダーものじゃなかったのに、ちょっと意表を突かれた。シリーズものにしては変則的な展開だな、どこでヴァランダーが出るんだろうと、最後まで思っていた。「目くらましの道」のエピソードへの言及もあり、ここからイースタのヴァランダーへ繋がっていくのかなと思ったが、そういうこともなく。ここはちょっとした愛読者サービスか。

30代の警官が舌ガンの宣告を受け、治療開始を待つまでの不安定な気持ちの時に、引退した先輩刑事が惨殺されたことを聞き、何が起きたのかを知ろうとして捜査に深入りしていくという話。
スウェーデンに存在するナチスへの共感者(というか、偏狭な白人優越主義者)がテーマ。この種の題材はマンケルの以前の作品にも取上げられていたし、アフリカへの共感も語っている著者にとっては、大きなテーマなんだろうと思う。本書は主人公の身内にナチスに心酔している人物を配することで、そういう思想が遍在することと、それに対して他人事でなく向き合うことを訴えているように思える。

もっとも、冒頭に、ナチスの残虐はたまたまドイツに起きただけであって、イギリスでもその他の国でも起こりえることかも知れない、ということを書いていたり、最後に、イングランド軍によるスコットランド軍の虐殺のエピソードを持って来ているのを見れば、著者の意図は、ナチスやスウェーデンという限定的なものではなく、人間の邪悪さが普遍的に存在しうるという所にあると考えるべきだろうな。

ただ、サスペンス小説としては、事件の背景にそうした構造が見えてくるまではかなりスリリングだったが、結末に向けては、その無気味さがあまり効果的に絡まず、普通の出来に止まってしまったように感じた。

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