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感想「冷戦交換ゲーム」

「冷戦交換ゲーム」 ロス・トーマス ハヤカワポケミス
ロス・トーマスの最初の作品で、内容的にも「暗殺のジャムセッション」の前作。再読だが、前回は、いつ読んだんだか、わからない。内容もほとんど忘れていた。

ボンで喫茶バア(カフェバーであろう)を始めようとしたマッコークルの所に、押し掛け共同経営者としてやってきたパディロは、それを隠れ蓑にスパイ活動に勤しんでいたが、10年後、店でひと騒動起きる中、慌ただしく「仕事」に出かけたパディロが消息を断ち、その後、助けを求める連絡が届いて、マッコークルがベルリンに赴くという話。
冒頭から動きが多く、それがいちいち、洒落ていたり、皮肉っぽかったりするので、いよいよ読まされる。展開自体は衝撃的でも、露骨な感情表現や殊更にえげつない場面はないが、さりげない人物や情景の描写がかえって効いている。それは最後まで一貫していたロス・トーマスの作風。
ウェザビイの死に方なんか、格好いいと思うし、クックやマースも生きているキャラだ。どうしても「暗殺のジャムセッション」との比較になってしまうが、あちらに比べると、登場人物が比較的整理されていて、一人一人の描かれている分量が多いので、よく描けている気がする。
翻訳も、一部の訳語に古さがあるのは仕方ないとして、結構しっかりしているように感じた。もっとも、ロス・トーマスも第一作だから、2作目よりも、翻訳しやすい素直な文章を書いているのかもしれないが。
プロットはちょっとややこし過ぎるが、それも彼の作風のうちだ。後になって、ロス・トーマスの小説のプロットをさっぱり覚えていないのは、そのせいじゃないかという気がする。これには、再読が効くという利点もあるかも知れない(^^;。

結末がとても印象的で、あやうくほろりとさせられそうになった。そして、「暗殺のジャムセッション」へ続くわけで、順番通りに読めばよかったかなと、少し後悔した。いや、元々は順番通りに読んでいるんだが。

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