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感想「暗殺のジャムセッション」

「暗殺のジャムセッション」 ロス・トーマス ハヤカワポケミス
ロス・トーマスの2作目の邦訳。1作目の「冷戦交換ゲーム」が邦訳されて40年を過ぎているそうだ。手元のを見たら、確かに1968年刊行の初版だった。 41年目の第2作。内容的にも続篇だから、随分間が開いたという感じ。もっとも、自分が「冷戦交換ゲーム」を読んでからは、20年は経ってないと思う。いつ読んだか、覚えてないんだが。
ちなみに本書も、原書で一度読んでるが、だいぶ前なので、内容はほとんど覚えてない。

扉の裏を見るとコピーライトの表示がないので、どうやらハヤカワは、翻訳権が切れたので、出す気になったものと思われる。それにしても、そんなに早く切れちゃうものなんだろうか。ロス・トーマスが亡くなって、まだ14年しか経ってないんだが。
一方、そういう事情なんだとすると、これから続々ロス・トーマスが出る可能性もあるのかな? それには、これが売れないことにはしょうがないだろうけど。

前作で行方知れずになったパディロがマッコークルの前に現れるが、そのパディロに暗殺事件への加担を求める某国の一味が、断ったパディロを翻意させるため、マッコークルの妻のフレドルを誘拐するという話。
いかにもロス・トーマスらしいスマートな雰囲気で始まり、軽妙な会話で話が進もうとする、んだけど、どうももたつく。どうも、訳者がよく理解出来ないまま、適当に訳してしまっている気配がある。事件が本格的に動き出す後半までは、軽妙なやりとりが読ませどころだから、これはけっこうつらい。
それでも役者が揃って、曲者たちの裏のかき合いが本格的に始まると、ストーリーに引き込まれた。それと、マッコークルが妻を想う心情が、リアルに伝わって来て、いい感じだった。それに対するパディロの孤独感、やるせなさが、あまりおおっぴらには描かれないながらも(そこがいいんだが)、ずっと流れていて、これも効いている。原題(Cast a Yellow Shadow)も、それも表現してるはずなんだけど、つまらない邦題を付けたもんだ。

登場人物が裏をかき合うプロット面の面白さは充分に出ているが、一人一人の人物を魅力的に描き出すという点では、少し未熟かなという気がした。ハードマン、マッシュ、ベティといったあたりはよく書けているが、後年のロス・トーマスなら、悪役トリオあたりも、もっと印象的に描けたんじゃないだろうか。その辺、どうなのか、「冷戦交換ゲーム」や「クラシックな殺し屋たち」を読み直してみようと思った。

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