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感想「毒蛇の園」

「毒蛇の園」 ジャック・カーリイ 文春文庫
カーソン・ライダーもの3作目。
女性記者が残虐に殺害された事件をライダーと相棒のノーチラスが捜査していくうちに、猟奇的な連続殺人に気付く。背後では精神異常者と思える謎の人物の暗躍が始まっているという話。
プロットはしっかりしているし、それなりに読ませるんだけど、プロットよりはサスペンスの方が印象が強くて、そっちで読んだという気がする。あと、作者の手つきが気になる箇所が多かったと思う。キンキャノン一族の描き方なんか、実態が見える前から、胡散臭過ぎるし、ローガンについても、かなり不自然な感じ。
レギュラーな登場人物についても、ジェレミーは言及のみで全く登場しないし、微妙な雰囲気だったクレアとの関係をきっちり割り切ってしまおうとしているし、2作目に引き続いて、1作目を特徴づけていた不安定感のある背景を、どんどんきれいに整理してしまおうとしている感じがある。ミステリとしてのプロットを軸にして、シリーズ小説を書いていこうと思っているのであれば、それは間違った方向ではないかも知れないが、シリーズの特徴が消えることにもなりかねない気がする。なんだか、普通のサスペンス小説になっちまったな、という感じがあるんだが、大丈夫なんだろうか。まあ、次作ではジェレミーが本筋に登場するようだけれど。

法月綸太郎が解説で書いている「謎解き小説」という言い方は当らないんじゃないかと思う。自分の感覚では、「ミステリ」だったら、この程度の謎解き的要素や伏線はあって当り前で、無いものが「ミステリ」とされていることの方がおかしい。しかも、上記した通り、本書はプロットよりもサスペンスで読んだという印象が強い。最後の方にある仕掛けの部分を読んで、ああそう、まあ、それもありかな、という程度の印象しか持てなかったことは、法月が書いているような切り口に対して致命的だと思う。謎解きのインパクトが乏し過ぎて、それが重要だとは全然思えなかった。「謎解き」を強調する小説なら、もう一段上の複雑さが欲しい。あくまでも個人的な感想で、誰もがそう思うかどうかは分からないけれどもね。
翻訳ミステリの売行きが悪いので、サスペンスのファンと本格のファンの双方にアピールしたいという、営業的な解説なのかも知れないという気もするが…。

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