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感想「黄昏にマックの店で」

「黄昏にマックの店で」 ロス・トーマス 早川書房

再読。前回は92年に出た直後に読んだはず。
「クラシックな殺し屋たち」から19年後に書かれたパディロ&マッコークル。ただ、パディロとマッコークルは脇役に廻り、主人公は二人の旧友の息子。彼が死んだ父親が遺した回想録を巡って起きる事件に巻き込まれる(というか、自分から事態を錯綜させていく)。そこにマッコークルの娘が絡む。

前3作に比べて、非常に洗練された作風になっている。今回、前3作を読み返して、思っていたより小説の中でのプロットの重要性が高いな、と思っていたのだけど、これを読むと納得で、元々ロス・トーマスについて持っていた自分のイメージは、むしろこっちに近いようで、それは後期の作品の印象から来ていたものなんだな。プロットよりも人物像、セリフ回しやシーンの鮮やかさの方が強く印象に残る。からっとしていてべたつかないが、底の方にさりげなく感情がにじむ作風が、やたらと格好がよくて、読んでいて、わくわくする。
ちなみに、前3作は、基本的にはマッコークルの一人称で書かれていたが、本書は三人称で、それが作風に対して効果をもたらしているように思える。主観を伴わない、純粋に効果だけを狙った情景描写が可能になっているので。
一方、プロットは、よく考えてみれば辻褄はあっているのかも知れないが、どうも破綻してるような気がしてしょうがない。ほとんど気にはならないんだが(^^;。

なぜこのタイミングでパディロ&マッコークルの続篇を書いたんだろう、ということについては、このシリーズの最後の挨拶だったんじゃないだろうかという気が、今はする。アメリカで90年に本書が出て、このあと2冊刊行した後(うち1冊は、もうひとつのシリーズもののウー&デュラントもの)、95年にロス・トーマスが亡くなっている。内容的にも、パディロ&マッコークルが現場から引退して、主役は子供の世代に移っているというものだ。若い頃に書いたシリーズキャラクターのそういう姿を描いて、締めくくったという意味合いの作品だったんじゃないんだろうか。

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