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感想「戦争と平和の谷間で」

「戦争と平和の谷間で」 明石康 岩波書店
著者は国連の代表として、94年から95年にユーゴスラヴィアに派遣されていた人物で、当時のことを振り返りつつ、国連による平和維持活動はどうあるべきか、といったことを、2007年の時点で論じたもの。100ページちょっとの薄い本。
ユーゴスラヴィアのこの辺のことは、元々関心があるけれど、モンテネグロが舞台の小説を読んで、モンテネグロの代表選手が居るチームを応援する(そもそもそのチームの監督はセルビア人)というタイミングが重なった後で、図書館で見掛けて、なんとなく読んでみる気になった。
ある程度、気にしていたとはいっても、それほどよく分かっていたとは言えない、当時のユーゴの状況が、簡潔にまとめられている感じ。また、ユーゴを内戦に陥らせた当時の各勢力指導者の人物描写は興味深く、もちろん著者による一面的な見方に過ぎないにしても、この程度の人物が指導者の座に座ってしまった悲劇ということを感じた。もっとも、今の日本も、よその国のことを言えるのか、という感じだけどね。鳩山は今の所、それなりの人物なんじゃないかと思っているが、その前を遡ること5代くらいの総理大臣のことを考えると。
排他的なナショナリズムを克服することが何よりも必要というのが、著者の考え方の基本にあり、それは同感。国連の活動の中で軍隊と協力して事態に対処した経験や、平和維持には一定の軍事力が必要という観点から、日本で軍事力がタブー視されることへの疑問を呈する箇所もあるが、なぜそうなったのかといえば、それもやっぱり、軍事力が排他的なナショナリズムと結びついて悲惨な結末をもたらした記憶が、日本にはあるからだろう。日本が軍隊を持って活動することに対する違和感の最大の要因は、(少なくとも自分にとっては)それが容易に排他的ナショナリズムに結びついてしまいそうに思える危惧だと思う。
ただ、どうすればそれが可能になるのか、という点について、著者は回答を持っていないし、それは模索していくしかないことなんだろう。

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