« トップリーグ第6節ホンダ対クボタ | トップページ | エラリー・クイーン関連書 »

感想「THE GOLDEN GOOSE」

「THE GOLDEN GOOSE」 エラリー・クイーン SIGNET DOUBLE MYSTERY

エラリー・クイーンの未訳のペーパーバックオリジナル。1964年の刊行で、代作者はフレッチャー・フローラとのことだが、この作家は他に読んだことがない気がする。

主人公プリンセス(そういう名前の若い女性)の伯父のスレイターは妻の遺産で金持ちになり、豪邸に生活能力の乏しい一族の人間5人を寄宿させていて、プリンセスはその一人。みんなグータラ暮らしていたが、プリンセスはドラッグストアに勤めたりして、それなりの生活をしている。スレイターは自分が死んだら遺産は一族22人に分けてしまうと言っているので、寄宿者5人はスレイターの長生きを願うしかない立場。
ある日、スレイターが自室で眠ったまま死んでいるのをプリンセスが発見。一族の人間は自然死と考えるが、主治医のアップルトンは変死を主張して警察を呼び、検死に持ち込むと、毒が検出される。スレイターが死んでしまえば元も子もないので(だから「金の鵞鳥」)身内の人間による殺人はないと思われたが、遺言にからくりがあることが分り、事態は紛糾し始める。

破綻した人間だらけの家族の話で、タイトルが童話によっているあたり、「生者と死者と」あたりを思わせたし、リアリズムというよりは戯画的な筆致なのもそんな感じ。あんまり好みじゃないかなと思ったが、死人が出て話が動き始めると面白くなった。プロットは結構しっかり立てられているし、途中で巧くひねられている。そんな所まで配慮してるとは思わなかった、という感じで、個人的に空振りだった細部もあったが。でも、そういう部分も、ちゃんと作ってるんだなと、感心はした。
容疑者が多い割には、いまいち、雑多な人々へのミスディレクションが弱いので、早い段階で、話の方向性はだいたい見当がついてしまうが、それでもいくつか残る可能性のどれだろう、という興味で引っ張るし、ある意味、エンディングは2択そのものになる。かなりいいまとめ方だと思う。
立上がりで危ぶんだ割には、結構楽しめる小説だった。特に終盤数章の追込みに迫力があったと思う。

|

« トップリーグ第6節ホンダ対クボタ | トップページ | エラリー・クイーン関連書 »

「小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/46522455

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「THE GOLDEN GOOSE」:

« トップリーグ第6節ホンダ対クボタ | トップページ | エラリー・クイーン関連書 »