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感想「大佛次郎の「大東亜戦争」」

「大佛次郎の「大東亜戦争」」 小川和也 講談社現代新書
戦前、西欧流の自由主義を信奉していた知識人の作家が、太平洋戦争の時にどのような流れで積極的に戦争を支持するようになったのか、というあたりを考察した本。

大佛が、西欧の影響を受けた知識人である以前に、「愛国」の明治人だったというあたりがポイントのような気がする。ただ、この本を読む限り、多少のぶれはあるようだけど、大佛が愛する「国」は、基本的には「郷土」としての日本で、その当時の日本の体制そのものに対しては、盲目的な信頼を寄せていたわけではなく、戦争末期には強い批判も持っていたらしい。そういう「愛国」と西欧流の自由主義であれば、思想として、おそらく両立はすると思う。

ただ、そう考えたとしても、ここで描かれている大佛のスタンスには、どこかにごまかしがあるように感じる。
あれだけ物が見えている人物に、当時の体制による暗黒面を握り潰しが、初期の段階で全くは見えていなかったとは考えにくい。自分が生き延びるために敢えて目をつぶったか、生存本能がそちらから目をそむけさせたのか。そのどちらかのように思えるんだが。自分の思想と方向性が合っている輝かしい理想に目が眩んでいたのかも知れないが、それもむしろ、そう言い聞かせることで、自分をなだめていたのでは、という気がする。

これがいくらか的を射ていたとして、それは仕方のないことだっただろうと思うけれども、多くの人に影響を与える大衆文学の作家がそれで良かったんだろうか、と思えるのも確か。もっとも、そんなことを言えるのは、自分がああいう時代の極限的なプレッシャーのようなものを受けたことがないからだ、ということは、充分分かっているつもり。

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