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感想「新宿警察」

「新宿警察」 藤原審爾 双葉文庫
新宿を舞台にした刑事ものの小説。この作家は有名だと思うが、多分、今まで読んだことはなく、双葉文庫の新刊でこれが店頭に出ているのを見て、なんとなく読んでみる気になったもの。「新宿警察」はこれを原作にしたテレビドラマを何度か見た覚えがあるし、上京して新宿署の前を通った時、これが新宿警察かあ、と思ったりしたくらいなので、それなりに引きがあるタイトルだった。

けっこうびっくりしたのは、複数の刑事が同時進行する複数の事件に取り組んで行くこの小説のスタイルで、刑事たちの人物像や捜査の描き方なども含めて、自分が持ってる警察小説のイメージ通りの小説だったこと。昭和30年代(20年代からという説もあるらしい)の日本に、そういう小説があったんだ、という感じ。 87分署シリーズとかを一所懸命読んでいた当時にこれを読んでいたら、はまっていたかも知れないと思う。ちょっと惜しいのは、短篇集なのでひとつひとつの作品が短く、登場人物が多い割には一人一人があまり描き込まれてなくて、イメージがいまひとつくっきりして来ない所だが、その辺も数多く読んでいるうちには浮かんで来るのだろうな。
まあ、さすがに時代背景や文章の古さは感じる。30歳の刑事の月給が3万円という時代だから。それと、新宿という舞台に全然土地勘が無い頃だったら、今とは受け取り方が違ったかも知れないな、ということは、ちょっと思った。

細谷正充の解説は、個人的な思い入れの深さを感じさせる力作で、藤原審爾って、そんなに凄い作家だったのか、と思わせた。双葉文庫で少なくとももう3冊出るらしい「新宿警察」シリーズを続けて読むかどうかは、まだなんとも言えないけど、少なくとも、他の作品を読んでみたいかな、という気にはさせられた。
それにしても、ここに書かれている、大衆小説作家として立つことへの藤原審爾の決意には感心させられた。内容的にも、ある種の理想主義のようなものが感じられ、先日関連書を読んだ大佛次郎に通じるものがある。ある時代までの大衆作家には、こういう志の高い人たちが少なからず居て、支えていたということなんだろうか。

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