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感想「アンダーキル」

「アンダーキル」 レナード・チャン アーティストハウス
タイトルに興味を引かれたのと(オーバーキルの反語?)、訳者がジム・トンプスンの翻訳で馴染みのある三川基好だったので、読んでみることにした。原著は2003年の刊行。
アメリカの西海岸を舞台にして、私立探偵もどきな仕事をしている主人公が、関係が破綻しかかっている恋人に頼まれて、彼女の弟の変死の真相を一緒に調べる話。ストーリーだけたどると、それなりに手が込んでいるし、見せ場も多いんだが、いまひとつ面白くない。主人公が事件そっちのけで恋人との関係に悶々としっぱなしだし、それ以外の登場人物も自分が何をやってるか、よくわかってないような連中ばかりで、読んでいて苛々してきた。シリーズ2作目なので、1作目を読んでいれば、中心になる人間関係をすんなり理解出来て、もう少し読みやすかったのかも知れないが、それだけでどうにかなったとも思えない。
解説で訳者が、この作家とジム・トンプソンの類似が指摘されたというエピソードを紹介しつつ(だからこの訳者が起用されたのか?)、どこに共通点があるんだろうと首を傾げてるみたいなのがおかしかった。解説自体、相当困りながら書いている気配も感じられる。
元々、純文学の方の作家らしく、主人公が無闇と内省的なのは、そのせいなのかも知れない。トンプスンの主人公がやたらと物を考えるのと似てなくもないけど、彼らの考えることはぐちゃぐちゃで、それがトンプスン小説の一つの特徴だと思う。この作家の主人公はまとも(というか、ナイーヴというか)過ぎる。こういう内省的な主人公の小説が好きな読者にはいいのかもしれないが、自分には合わなかった。
で、タイトルの意味も分からなかった。読み落としたのかも知れないが、読み返す気力が湧かずじまい。

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