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感想「スペード&アーチャー探偵事務所」

「スペード&アーチャー探偵事務所」 ジョー・ゴアズ 早川書房
「マルタの鷹」の前日譚。事前に情報等に触れていなかったので、どういう種類の小説なのか全く知らなかったが、基本的にハメットのスタイルを踏襲した贋作的な小説みたいだ。遺族の許可も得た(というか、半ばは依頼されたものらしい)本格的なもの。もっとも、「マルタの鷹」を読んだのは随分昔だし、読み込んでもいないので、前日譚としての出来については判断出来ない。1920年代を背景にした時代物の私立探偵小説として読むなら、結構良い出来なんじゃないだろうか。当時の街の様子や風俗が生き生きと描かれているし、サム・スペードは好感の持てる主人公。彼を取り巻く人物たちも、しっかりと造型されている。特にエフィーは、「マルタの鷹」を読んでいて、いまひとつ、スペードとの関係がよくわからない感じがしたキャラクターだったが、その辺もうまく作り上げている。三部構成のプロットも、やや腰砕けな感じはあるが、それなりにきっちり作られてはいる。
ハメット・「マルタの鷹」のファンなら、にやりとするような仕掛けが、あちこちに入っているんじゃないかな、という気もするが、そのあたりは残念ながら分からない。

ジョー・ゴアズが楽しんで書いている雰囲気が感じられる所がいい。ゴアズはDKAものなどは、いまひとつ食い足りないが、本書は彼の作品の中でも上位に来るんじゃないだろうか。そういえば、中身をほとんど覚えてないが、「ハメット」も結構良かったような記憶がある。完全オリジナルで書くよりも、下地になる何かがあった方が、うまく書ける作家なのかもしれない。

以上の感想を書いた後、「マルタの鷹」を読み直した。それを受けての補足。
ゴアズは、原作を読むと違和感を覚える箇所を補足しようとしたんだろうかという気がした。スペードがブリジットに対して不可解な態度を取る理由や、スペードとエフィーの関係の分かりにくさというあたりについて、丁寧に描き込んでいる感じがする。確かにこういう背景があるのなら、ある程度納得は出来るな、という感じ。ただしそれは、あくまでもゴアズの解釈(想像)に過ぎないわけだが。

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