感想「Too Many Clients」
「Too Many Clients」 レックス・スタウト Bantam Books
ネロ・ウルフもの。初刊行は1960年。
依頼人が途絶えて、財政危機に陥りつつあるウルフの事務所に、大会社の重役を自称する人物が、自分を尾行している者が居るので、正体と目的を突き止めて欲しいとやってくる。あまり気乗りはしないながらも、依頼人が必要な状況なので、アーチーが出かけていくが、待合せ先に依頼人が来ない。調べてみると、依頼人が名乗っていた名前の人物の死体がマンホール(厳密にはマンホールじゃないようだが、そう書いた方がイメージ的に分かりやすそう)の中で発見されたことと、その人物は事務所に訪ねてきた者とは別人であることが分かる。久々に来た依頼人が居なくなってしまったことでもあり、アーチーは様子をさぐりに行き、殺された人物がマンホールの近所に秘密部屋を持っていたセックス中毒者で、殺人はその部屋で起きたことを知る。そして、事件に関わる人物が、次々ウルフの依頼人になり始め、タイトルの状況になっていく。
依頼人と思った人物が別人だったり、依頼人が居なかったのが、一転して依頼人だらけになったりという展開が面白く、快調な出だしで、そのペースが最後まで持続している感じ。2番目の事件が半ば頃に起きるが、それをきっかけにして事件が解決に向かい始める展開も自然で、結構良い出来じゃないかと思う。
冒頭でアーチーと知り合うプエルトリコ出身の一家が重要な役回りを占めるが、彼らが、自分たちがアメリカ人であることを意識する記述が複数あって、そうしたマイノリティも含めて構成されているのがアメリカなんだ、という意思が感じられ、彼らに対して好意的な描き方をしていることも含め、いかにもスタウト的と思った。
結末で、この話は人物や場所を実際とは違えている、というようなことを、アーチーが述べるのだけど、なんでまた殊更、という感じ。いつもは違うんかい、みたいなツッコミを入れたくなる(^^;。まあ、事件の真相に関して、クレイマーを欺いた、という話になっているので、そのまま書いてあったらおかしいだろうという配慮なのかも知れないけれど、他の本でもそういう部分はあるような気がするんだが。
偶然ながら、セックス中毒な被害者というのが、妙にタイムリーだった(^^;
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