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感想「路上」

「路上」 ジャック・ケルアック 河出書房新社
ロードノベルと呼ばれる傾向の小説が好きで(もちろん主にミステリだが)、読むことが多いので、必然的にこの本への言及を見ることも多く、一度読んどくべきだろうなと、ずっと思っていた。図書館でたまたま探したら、文学全集に入っているのを見つけたので借りてきた。河出世界文学全集25巻/現代の文学。訳者は福田実。
失敗だったかと思ったのは、訳が非常にぎこちなく思えたこと。意味を理解してなかったり、現物が分からないで訳しているんじゃないかと思える箇所が、あちこちにあり、読んでいて、正直かなりつらかった。この翻訳が出たのは1959年(原著刊行は1957年だそうだから、かなり早いと思える)らしいから、この当時の翻訳としては、こんなものかも知れないと思いつつ、文学全集自体は1989年刊行で、その時期に新刊として出す翻訳としては、どうなんだろうかとは思った。今は青山南の新訳が出ていて、そっちならこういうストレスはなかったんじゃないかな。

作家の卵みたいな主人公(著者の分身だそうだが)が、友人と過ごす狂躁的な日々を描いたもので、そのうちかなりの部分を合衆国・メキシコ国内での旅の風景が占めるから、確かにロードノベルの原点?ぽい小説なんだなと感じたし、そういう、旅を描いた面白さはあったと思う。ただ、この主人公の立ち位置が、結局、よくわからなかった。底辺を這いずり廻るような旅をするが、本当にせっぱつまってしまうと、叔母さんに金を送ってもらったり、知り合いから金が貰えたりするし、ニューヨークに帰れば家もあるわけで。どうしようもない旅への衝動というのは、ある程度分かる気がするけれども、それがこういう形を取る必然性という所が引っ掛かった。重要な登場人物のディーンについては「気が狂った」という言葉で説明されて、何となく納得してしまうが、一人称の主人公については、一応理性的に事態を説明している立場だから、どうも釈然とせず、今ひとつ、主人公に共感出来ず、乗れないまま終ってしまった。ただ、翻訳の影響は多分にあったと思うので、そういう意味でも、青山訳ならどう感じたのかな、という気はする。

アメリカについて描いているとか、ビートジェネレーションとか、そういう観点からの本書の意味については、門外漢なので、なんとも言いようがないが、もしかすると、そういう所への目配りをするのでないと、あまり読む意味はない本なんだろうか。

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