感想「ザ・ロード」
「ザ・ロード」 コーマック・マッカーシー ハヤカワ文庫
何かの大惨事が起こって、生命が死滅しつつある地球(アメリカ)を、父と息子が生き延びるために旅する話。ピューリッツアー賞受賞作だそうだ。
訳者のあとがきにもある通り、似たような趣向のSFは既にたくさん書かれている。これは普通小説の扱いだが、どう違うんだろう。ギミックの少なさというところ? 絶望的な世界の中を、父子が旅していく状況が淡々と綴られるだけで、状況の説明もなければ、目を見張るような展開もない。もちろん、植物も含めて生物がほぼ死に絶えて、食糧が絶対的に欠乏している中で、比較的入手しやすい食い物は「人間」という世界なので、えげつない描写や衝撃的な場面はかなり多いんだが、エンターテインメント的な要素ではなく、世界の描写としてそれがあるだけ、という感じ。(SFを(普通小説と対比して)エンターテインメントの側に置くのはいいのか?、という話もあるだろうけど)
テーマとしては、まったく希望のない世界の中で、人間が生き続けて、善であろうとすることの意味は何か、といった所なんだろうけれど、そういう世界の中で生き続けようとしなくちゃいけない理由を、自分自身はほとんど見出せなかった。生き続けようとする主人公を理解出来ずに自殺した主人公の妻の方が、ずっと共感出来る存在だったように思える。なので、結局、この小説の良さは、自分には分からなかったということになる。
リアリティの無さも気になったが、そのあたりは寓話的ということなんだろうな。
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