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感想「五番目の女」

「五番目の女」 ヘニング・マンケル 創元推理文庫
久々に出たヘニング・マンケルのヴァランダーもの。前作の数ヶ月後という設定みたいだが、前作の内容を、もうたいがい忘れてる。

冒頭にアルジェリアが出てきて、またアフリカを絡めた小説かと思ったが、イースタ周辺で猟奇的な連続殺人が起きて、ヴァランダーと仲間たちが追いかけるというオーソドックスなパターンの作品だった。もっとも、このシリーズは変則的な展開をたどることの方が多いから、こういう普通の捜査小説っぽいやつの方が、むしろ珍しいかも。
警察側と犯人側の両面から描いて行くので、謎解き的な興味はあんまりない。サスペンス性も、それほど強くないが、それでもミステリとして、すらすら読まされてしまうのは、ルーティンな捜査活動の進展のさせ方・描き方の巧さと、馴染みの出来ている登場人物たちの描き込みが、しっかりしているからだろうな。
捜査が進むにつれて、見えて来るのは女性虐待の問題で、そこの所が本書のテーマ。力がこめられている。

その他、背景として、暴走する自警団とか、社会の閉塞感の問題が描かれているが、今の日本に通じるものがあると感じた。特に上巻の最後の方にあるヴァランダーのセリフは、今の日本の状況そのもののように見える。本書の舞台は1994年のスウェーデンで、そんなに昔の話ではない。要するに、今は世界中でそんな風になっているということなのかもしれない。
「なにが正しくてなにが間違いか、ほかの人に対してなにをしていいか、なにをしてはいけないかという価値基準を変えてしまった。すべてが厳しくなってしまった。多くの人が、おまえのように若い人たちはとくに、自分の国にいながら必要とされていない、それどころか歓迎されていないように感じている。そういう人たちはどう反応するか? 攻撃と破壊だ。恐ろしいことに、いまわれわれが体験しているのは、まだそんな時代のほんの始まりなのではないかとおれは思う」
(2010.10.3)

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