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感想「ストライク・ゾーン」

「ストライク・ゾーン」 ジム・バウトン+エリオット・アジノフ 文藝春秋
メジャーリーグのリーグ戦最終戦カブス対フィリーズ、勝った方がプレーオフ進出するという状況で、その試合でたまたま先発することになった、メジャーではほとんど投げたことのない32歳のカブスのピッチャーと、この試合を引退試合とするアンパイアが主人公の小説。そのアンパイアは、朝鮮戦争当時の命の恩人に泣きつかれて、この試合でフィリーズを勝たせる八百長をしようとしている。
試合前夜から始まって、試合の状況が描かれるのと並行して、2人の屈折したこれまでの人生が語られていく。まあ、それはそれで、よく書けていて面白くはあるが、この小説の最大の売りは、試合そのものだろう。細部まで丁寧に描かれていて、リアリティもあるし、光景が頭に浮かんでくるようだった。クライマックスの部分なんか、本当に迫真的。試合の部分だけで、この小説は読む値打ちがあったなと思う。本物の野球の試合が見たくなったよ。

ちなみに、訳者(村上博基)のあとがきでのプロ野球批判は、ちょっと見当外れだと思う。東京ドームの巨人対阪神をレフトスタンドで1試合見ただけで、こんなことを書かれてもな、という感じ。場所もカードも特殊な部類だし、本物には本物の良さがあるって。

アンパイアの方の、審判としての人生が描かれるくだりは、アメリカの審判の生活がどういうものかというのが分かって興味深い。もちろん小説なので、誇張もあるだろうけど。結局、メジャーに上がらないと、アメリカの審判も、大していい環境でやれているわけではないのかな。先日、「プロ野球誤審の真相」を読んだ流れでの感想。昨年、アメリカでメジャーを目指してやってる元NPB審判の話をいくつかの場所で見たが、それを見ても、確かにそんな印象はあった。

選手名は、かなり実名を使っているようだけど、どこまでがそうなのかな。

著者は2人の共著になっているが、表に出ているのはバウトンで、メジャーリーグ経験もある、元野球選手のライターらしい。アジノフは他にも野球関係の小説やノンフィクションの著書があったはず(少なくとも短篇小説を読んだ記憶がある)で、多分、協力者的に関わったんだろう。

原著は94年、訳書は97年の刊行。

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