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感想「プロ野球誤審の真相」

「プロ野球誤審の真相」 工藤健策 草思社
プロ野球での「誤審」の実例を数多く取り上げて、なぜそれが起きたのか、という点を考察した本。サブタイトルが「球界をダメにするおかしな構造」で、いくらか扇情的な匂いがするが、内容は至って冷静。豊富な実例を具体的に検証していて、説得力がある。2006年に出たもので、WBCのデビッドソン審判に始まり、プロ野球でも誤審騒動が相次いだ年だから、時流に乗った本だったんだろうけど、結構しっかりした本のように思える。ちなみにこの著者は「Jリーグ崩壊」も書いているらしい。これは、当時、書店で見掛けたけども、なんか胡散臭い、と思って読まなかった本だ。

プロ野球の「誤審」については、人間のやることだからミスもあるというのが、自分の基本スタンスで、監督の抗議は、たとえスワローズの抗議でも、ヤメロヤメロと思って見ているくらいだ。これに関しては、ノムさんもそうだが、古田が凄くウザかった覚えがある。審判の間で古田の評判が悪いと書かれていて、そうだろうなと思った。
元々そう思っていて、本書を読んで、さらにその気持ちが深まったんだけども、今のプロ野球の審判は気の毒過ぎ。ビデオのリプレイが横行して、些細なミスも叩かれる。この本を読んで分かったが、ミスでなくても審判のせいにされる(ビデオ映像も技術的に万能ではなく、常に正しいとは限らない)。そんなの分かる訳がない、という次元のものでも、叩かれる。しかも、誰も審判をバックアップしない。スケジュールは苛酷。その割りに大して給料がいいわけでもない。
そうはいっても、審判の側にも改めるべき点はあるというのも、これを読んで、分かったけれども、それでもやっぱり、誤審をあげつらう前に、もっと審判の権威や待遇を上げていくべきなんじゃないんだろうか。それは本書の主張でもあると思う。

いくつかの点では、必ずしもルールに厳密に沿わずに、それなりに合理性のある「暗黙の了解」の下で、試合が行われているというのは、初めて知った。というか、なんとなくそうなんだろうなと思っていたけど、やっぱり本当にそうなんだ。それは試合を円滑に安全に行うために必要なことだと分かるんだけれども、そこを理解しない(多分)通りすがりのクレーマーによって、いろいろなことがきしみ始めているという感じ。もっとも、こういう現象は、プロ野球に限らず、今の日本のあちこちで起きていることだな。時代の変化に伴う必然的な変動ではあるし、乗り切っていかないといけないことなんだろうけれども、厄介だ。

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