« 日本選手権準決勝三洋電機対東芝 | トップページ | 2011年グランパス日程 »

感想「ティンセル」

「ティンセル」 ウィリアム・ゴールドマン 角川書店
ゴールドマンは好きな作家だけど、どういう本が出ているのか、ミステリにジャンルが限られていない作家ということもあって、よく分かってなくて、この本も偶然見つけた。原著は79年刊行、邦訳は86年。

ハリウッドの二流のプロデューサーが、自身の代表作とするべく構想した、マリリン・モンローの生涯をモチーフにした「ティンセル(虚飾)」という映画の、主演女優のキャスティングを巡って起きる出来事を描いたもの。登場するのは、プロデューサーとその家族、候補になった3人の女性と、彼女たちを取り巻く人々といったところだけれども、今まで読んだゴールドマンの小説同様、それぞれの人物の描写がとても達者。当り前でない特異な人物ばかりだけれども、生き生きしていて現実味がある。この小説はショウビジネスの世界が舞台で、イメージ的に当り前でない人物ばかりが居る場所という先入観があるから、著者に有利に働いているのは確かではあるが。それと、典型的ではないが、特異な人物の設定としては、比較的よくあるパターンという感もないではないかな。頭のいいブロンドのグラマー(3人のヒロインはそれ)のような。
それでも、こういう生涯を送って来て、こういう人間になったという所が、どの人物についても、とてもうまく描かれているし、読んでいて感情移入もしやすい(特にノエル)。それでいて、ユーモアのある乾いたタッチで、あまりベタベタしない所もいい。

ただし、ミステリではないこともあり、話の展開に関しては、まあ、そんなとこかな、というあたりに収斂していく感じで、そんなにインパクトはなかった。
ゴールドマンはシナリオライターで、この小説の舞台になっている世界に実際に居た人間だから、それを生かした裏話や楽屋オチがたくさん取り込まれている。それと、60-70年代を感じさせる固有名詞の数々。分かっていればいるほど、おもしろく読めるだろうな、という気がする。

傑作とは思わないが、ゴールドマンの小説ということで、期待していたものは、きっちり面白く読ませてもらったと思う。
(2011.2.19)

|

« 日本選手権準決勝三洋電機対東芝 | トップページ | 2011年グランパス日程 »

「小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/50925981

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「ティンセル」:

« 日本選手権準決勝三洋電機対東芝 | トップページ | 2011年グランパス日程 »