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感想「フライアーズ・パードン館の謎」

「フライアーズ・パードン館の謎」 フィリップ・マクドナルド 原書房
原著は1931年の刊行で、2005年に邦訳が出たもの。

代々、居住した家族の当主が謎の死を遂げてきたという屋敷に、偏屈な流行作家が住み始めるが、奇妙な出来事が続発。雇われて、その流行作家の財産管理人になった退役軍人が屋敷に赴くと、ついにそこで怪死事件が起き、彼が調査に乗り出すという話。
話の中心は不可能犯罪に見える怪死事件だが、屋敷に集まっている人々や屋敷で起きる奇妙な出来事の描写がすごく長くて、事件が起きるのは、話が半分まで進んでから。それだけじっくり描かれているから、奇怪な事件でも説得力がある、という感もないではないが、逆に事件が起きてから解決に向かうまでが、随分あっけないような気もする。幽霊屋敷に不可能犯罪と、話を(無駄に?)盛上げる魅力的な要素は充分あるにもかかわらず、気を持たせるような書き方をしないんだな。「Xに対する逮捕状」の時も思ったことで、それがこの作家のスタイルなのかもしれない。
書かれている内容そのものは明晰で、ごまかしのない論理的な推理という感じがする。なので、ここには必ずこういう仕掛けがなくちゃいけないはずだ、と感じた通りに、話が進んでいく所があり、拍子抜けのような、やっぱりそうかという満足感もあるような。ただ、無駄に気を持たされないというのは、個人的な嗜好としては長所だと思う。納得して、面白く読めたのは確か。
ただ、最後の所で、起きた心霊現象が全て説明がついているのかどうか、ちょっと微妙な気はする。もうちょっと細かく説明してもよかったんじゃないかな。あと、面白そうな登場の仕方をした割に、大した見せ場もなく終ってしまった登場人物が何人かいるな、と思った。多作していた時期ということだから、本筋以外の所は、あまり細かく気を配って書いていなかった、ということなのかも知れないが。気を持たせないという点も、もしかしたらそれが理由なのかも知れない。
(2011.2.10)

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