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感想「死んでいる」

「死んでいる」 ジム・クレイス 白水社
ジム・クレイスはイギリスの作家で、あとがきを読むと、いろんな賞を取っていて、現在のイギリスの代表的な作家らしい。本書は1999年の刊行。翻訳は2001年。
そんなことは全く知らずに、タイトル(と最初の数ページ)が格好よく思えたんで、読んでみただけなんだけど。動物学者の夫妻が、浜辺で強盗に遭って撲殺される事件が冒頭にあり、以降、そこへ至るまでの夫妻の人生の振り返りと、死んでしまった2人の死体がどういう風になっていくか(腐っていくか)という描写と、夫妻の一人娘が行方不明になった両親を探しまわる顛末が並行して語られて行く。
ミステリじゃないので、捜査とか犯人の追跡とか、そっちの方へは、話は進んで行かない。人が死に直面した時、無神論(著者は無神論者だそうだ)の立場から、どのように救いを求めるのか、というあたりにテーマがあるのだそうで、確かに2人の死を語るにあたって、宗教的な視点はほとんど感じられないし、死体の腐敗を自然のサイクルの一部として克明に描いていくあたりにも、死そのものに特別な意味付けをするまいという意識が感じられる。
ただ、こういうテーマは、日本人の受け取り方と、キリスト教文化の国での受け取り方は、かなり違っているかも知れない。日本人なら普通に読み流すような部分も、宗教の存在感が大きいイギリス人には特異で強い印象を与えるのかも。

個人的には、最初から最後まで、ごく自然に流れて行った小説という感じだった。タイトルと出だしの第一印象が最後まで持続したので、満足出来た。
リアルな撲殺の描写には、こういう目には遭いたくないなと思ったが(^^;。

訳者は渡辺佐智江で、「ゴーレム100」の翻訳家。日頃はこういう所にいる翻訳家だったのか。
「ゴーレム100」の時、随分尖ったあとがきを書く訳者だなと思ったけど、本書の巻末には「渡辺佐智江訳の本」と題された広告が載っていて、そういう風に、名前がブランドになるような翻訳家なんだなということが分かった。
(2011.3.1)

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