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感想「怪しい科学の見抜き方」

「怪しい科学の見抜き方」 ロバート・アーリック 草思社
副題が「嘘か本当か気になって仕方ない8つの仮説」で、いわゆる「俗説」である8つの仮説を、厳密な統計データの解釈を行い、妥当性を検討するというもの。先行して「トンデモ科学の見破りかた」という本があるようで、そちらは怪しげな科学理論の検討を同様な手法で行っていたみたいだが、こちらで取り上げている題材は、もう少し俗っぽい。たとえば、「ゲイは遺伝か?」「念力でモノを動かせるか?」「コレステロールは気にする必要はない?」というようなものが題材になっている。
全体的な印象として、ひとつひとつのテーマの真偽は、この著者にとって、必ずしも問題ではなくて、往々にしてかなり間違った形で使用されている統計的手法や論理的な演繹について、厳密な検討を行うならこういうふうに使うんだ、ということを示すのが目的なのではないか、という気がした。間違った使い方をされることで見当違いの結論が導き出され、それがいかにも真実であるかのように世の中に流通していることへの反論という感じ。
その分、各テーマでの検討の論理の筋道は明確で、確かにその通りと思わされる(一部、辻褄が合わない所はあるんだが、そこは誤訳じゃないかという気がする)が、結論はいまいち歯切れが悪かったりする。明確な真偽が決まらなそうな題材を選んでいるので、それは当然ではあるけれども。
珍説がもてはやされるのは、そういう結論の曖昧さがなく、きっちり断定してくれるからなんだろうと思う。わかりやすいからね。本書の検討は、筋道は明確だし、必要な検証を丹念に進めているが、地道な考察は読んでいてあまり面白くないし、その説を支持する立場から見ると、重箱の隅を突ついてる、としか思えない部分もあるだろうなとは思った。
たとえば、「地球温暖化は本当に心配すべきなのか?」のようなテーマも、テーマ自体に重要性を感じるし、検討過程も興味深いんだが、現時点で結論が出るような状態にはないわけで、実際に明確な結論は出ない。その結果、この本としては、どうしても食い足りなさが残ってしまったという印象。
(2011.4.22)

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