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感想「今日も上天気」

「今日も上天気」 浅倉久志・訳 角川文庫
大森望が、浅倉久志が翻訳した海外SF短篇から、9篇を選んで構成したアンソロジー。作家や編纂者よりも翻訳者が重要なアンソロジーってのは、翻訳者が自分で短篇を選んで翻訳して、というものはあると思うが、こういう形は他に聞いたことがない。それだけ浅倉久志の存在が大きかったということだよな。自分自身、浅倉久志の翻訳には、随分お世話になった。特に印象的なのは、ヴォネガットとラファティと黒丸尚が亡くなった後のギブスン。この短篇集にラファティが入ってないのは、ちょっと残念な気がする。
こういう本で、個々の作品のことを書いても、あんまり意味がないかな。全体的に思ったのは、こういう時期だからというのは多分にあるけど、 SFってのは暗い小説だよな、ということだ。比較的陽性な「空飛ぶヴォルプラ」にしても、金星がどういう星だか分かっている今となってはね。この世界の金星が、住んで楽しい星であることを願いたくなる。あと、時期が時期だけに、「ロトの妻」はオハナシで済まされないリアリティを感じたし、「オメラスから歩み去る人々」も考えさせられる所が多かった。現実を考えさせるということが、SFのもう一つの面と言えるのかも知れない。
もっとも、自分にとって浅倉久志は、SFの翻訳者である以前に、ユーモアスケッチの紹介者・翻訳者だった。多分、この人が居なかったら、ジェームズ・サーバーを探して集めることはなかったし、それ以外のユーモア小説に対しても、ずっと関心は少なかったはず。そういう方面で、こういう企画がされないのは残念だけど、ある意味、「ユーモアスケッチ傑作展」が、そもそもそういうアンソロジーそのものではあるかも知れない。今は入手難らしいが。
浅倉久志には、感謝あるのみ。
(2011.3.25)

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