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感想「バンクーバー朝日物語」

「バンクーバー朝日物語」 後藤紀夫 岩波書店
戦前のバンクーバーで人気を博した日系人の野球チーム・朝日の歴史をたどった本。白人の間で日系人排斥の動きが強まる中でも、白人にも人気があり、太平洋戦争の開戦とともに消滅したが、2003年にカナダ野球殿堂入りを果たしたんだそうだ。
朝日の歴史と同時に、カナダ(主にバンクーバー周辺)への日系移民の歴史もたどっている。アメリカの日系移民の苦労話はよく目にするが、カナダ移民も似たような、場合によっては、アメリカ以上に苛酷な目に遭って来たということが分かる。そういう中でも、朝日の活躍が心の支えだったというのは、響くものがある。当時の人たち(日系人も白人も)が野球に熱狂している様子が描かれているくだりを読むと、俺なんかは、プロ野球ファンのハシクレに過ぎないけれども、その人たちにそこはかとない連帯感みたいなものを感じるし、野球が好きで良かったと思ったりもする。
戦前の日本での野球の状況もフォローされていて、特に「東京ジャイアンツ」のアメリカ遠征について、こんなに細かく書かれているのを読んだのは、多分、初めて。もちろん、そちらをメインテーマした、元になる本はあるんだが。それにしても、1度目の遠征は、北米を転々としながら、ろくに資金もない状態で、116日で110試合をこなしたってのは凄い。こんな生活をしても、沢村やスタルヒンは潰れなかったのか。昔の人は偉かったんだな (^^;。
それと、東京ジャイアンツ以前に旗揚げしたプロ野球、芝浦協会と天勝野球団について触れている箇所で、これらのチームが本格的に活動を開始しようとした矢先に、関東大震災で潰えたというくだりは、時期が時期だけに、リアルに感じられて切なかった。

ちなみに著者はCBCで野球中継もやっていた人とのこと。
(2011.6.9)

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