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感想「黒いペナント」

「黒いペナント」 有馬頼義 ベースボールマガジン社
1950年代末に週刊ベースボールに連載され、その後、書籍化された小説を1997年に復刻したものらしい。古本屋で見掛けて、次に目に止まることはなさそうだなと思って、買って読んでみる気になった。
この作家の名前を最初に知ったのは、週刊ベースボールのコラムの執筆者としてだったと思う。その後、中間小説(聞かなくなった言葉だな)の大物作家ということを知ったけど、特に読もうという気になったことはなかった。これを読む気になったのは、野球小説なことと、巻末の解説に、有馬はとても野球が好きだったという文章を見たからだ。

内容は、プロ野球の日本選手権(日本シリーズ)を舞台にした、野球賭博・八百長を描いたもの。さすがに 1950年代の小説なので、文章のスタイルは古いし、背景にある風俗も随分古めかしい。陰謀を企てる一味が選手たちを抱き込む過程を読んでいると、随分純情な人たちだな、と思ったりもするけど、それはそれで昔の小説を読む面白さの一部ではあるかな。
クライマックスは選手権の第6戦で、試合経過が丁寧に描かれて、迫真的。その書き方や選手の心の動きの描写には、確かに心底野球が好きな人だったのに違いないと思わされた。読んでよかったと思った。

ちなみに選手権を戦うチームはラビッツとエレファンツで、前者は明らかに巨人がモデルなんだが、1950年代から巨人は、ウサギをマスコットにしてたんだろうか? エレファンツはあまりはっきりしない。大阪のチームだからバファローズのイメージかな。ラビッツとリーグを戦った在京球団のラークスてのはスワローズか。

それにしても、有馬頼義って、もう全然聞かない気がする。去年「新宿警察」の文庫は出たけど藤原審爾とか、梶山季之とか、そういう昔の大物作家って、消えてしまったな。
(2011.5.3)

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