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感想「翼の贈りもの」

「翼の贈りもの」 R・A・ラファティ 青心社
11篇収録の短篇集。訳者の井上央が編纂したものらしい。既訳・既読の短篇が含まれているんだろうか? もっとも、読んでいて、これは読んだかも、という感覚が、さっぱりなかったから、まあいい。
奇想っぷりや、ひねくれた文章、複数の事例を列記していく構成などは、お馴染みのもので、面白く読めた。
ただ、帯に「苦さとユーモアの中に限りなく優しいまなざしを持つ」と書かれていて、それは自分が持っているラファティの小説のイメージと違う、と思った。でも、読んでみると、この短篇集は確かにそういう表現が似つかわしいかも知れない内容。自分にとってラファティの小説は、奔放で適当で、気楽に面白いものだったんだが、ここに収録された短篇は(特に表題作)、詩的な雰囲気が強くて、そんなに気楽なものではないように思える。
具体的に思い浮かぶ、従来読んだいくつかの短篇のことを考えると、自分が持っているイメージが必ずしも間違っているとは思えないので、この短篇集がそういう傾向がある短篇を集めている、と判断していいのかもしれない。この訳者が、そういう解釈でラファティを読んでいるということなんだろう。それは自分自身のラファティの解釈とは少し違っているから、その辺の違和感というか、居心地の悪さみたいなものはずっとつきまとって、ちょっと乗り切れない部分があった。

この中から1篇挙げるなら、「マルタ」かな。
(2011.5.2)

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