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感想「量子力学の哲学」

「量子力学の哲学」 森田邦久 講談社現代新書
量子力学における、一般常識で考えると受け入れがたい、理論と実験結果が示す事実について、どう解釈するかという考察の数々を概説したもの。光が粒子でも波動でもあるというのはどういうことかとか、シュレジンガーの猫の件とか、そういうことについて、学者がああだこうだと言い合ってるわけだ。
で、今も決定的な方向が見えているわけじゃなく、一長一短あるいろんな説が飛び交ってる状態だというのがよく分かった。先日読んだ「量子力学の奇妙なところが思ったほど奇妙でないわけ」に書かれていたこと(本書でデコヒーレント説と書かれているやつだと思う)も、多々ある説のひとつに過ぎないんだな。ただ、あの本の最大のポイントは、どうせ分からないんだから、気にしなくていいじゃん、という所だったなと、個人的には思っているし(^^;)、そういう観点からすると、いろいろ考えてるね〜、という以上のインパクトのある考察はなかった気がする。人が決定した事実だと思っているのは、全部思い込みに過ぎなくて、実際は、全ては量子論的な確率の存在なのだという考え方には、ちょっと惹かれたけど。全ては幻、みたいな感じ。要するに、哲学の領域に入り込んでいる考察なので(だから本書はこういうタイトル)、そういう人生観的な話とも近いわけだ。そうなると、だから何?、という言葉が、すぐそこに(^^;)。
まあ、そんなことを言うなら、読んでもしょうがない本だろう。というか、量子力学自体、そういうものなんだろう。普通に生活する上では、どうでもいいことに違いない。
本書に、二次元の世界の人間は三次元の物体の二次元の世界での挙動を理解できない、という例えが出て来るが、そういうものだとすれば、確かに分かるわけもないしね。
そうは言っても、純粋に好奇心で(野次馬?)、分かってる所までは知っておきたいという気分があるので、だからこういう本を読んでみるわけだが。分かってないということが分かったのが、ある意味、収穫か(^^;)。

内容と関係ない話。著者が時々、唐突にくだけた口調の部分を挟むのを、この種の本では結構よく見る気がして、以前から気になってた。著者の立場からすると、講義の合間に余談を挟んだり、学生を和ませたりする感覚なんだろうな、ということに、今さら思い当たった。でも、こういうのは笑えない冗談を聞かされてるような感じで、結構違和感があるんだよな。やめとけばいいのにと思う。
あと、内容的に仕方ない面はあるが、括弧付きでのただし書きが、多すぎる気がした。厳密にはそうではないが、みたいなやつ。ちょっと苛々した。
(2011.12.8)

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