感想「ジーヴスとねこさらい」
「ジーヴスとねこさらい」 P・G・ウッドハウス 国書刊行会
国書刊行会のウッドハウスコレクション最終巻のジーヴスもの。ただ、ウッドハウスの翻訳書自体は、まだ出すらしい。
ウッドハウスが生前に完成させた最後の作品ということで、70年代に書かれたもの(1974年、92歳の時の刊行だそうだ)。最初の方に出て来るデモ隊と警察の衝突なんかは、時代を映していて、いかにも(いつものジーヴスものに比べたら)新しい感じがする。それはあくまでも背景に過ぎないし、基本的な話の流れは、例によって例のごとくなんだけど、比較的近年に読んだものの中では、一番面白かったような気がする。話のペースが少し速いのかな。登場人物もいつもと比べて、割と納得のいく人物像になっていたように思える(たとえば、例によって伯母さんに、猫をかっぱらって来いと理不尽なことを言われたバーティが、珍しくまともなリアクションを見せる)。この猫をめぐるドタバタなんか、いかにも現代的なコメディという感じだったりするので、話自体もやっぱり時代の影響を受けているのかも知れない。それでもちゃんと面白い小説になってることが、コメディの基本的な構造は時代が変わっても変わらないことを示している、とは言えるかも。
翻訳は相変わらず難有りで、最後までうまくならなかったな、と思う。訳者の情熱は認めるけれどね。
(2012.2.15)
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