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感想「ボストン、沈黙の街」

「ボストン、沈黙の街」 ウィリアム・ランデイ ハヤカワミステリ文庫
ボストンの地方検事補がメイン州の田舎町で殺され、死体の発見者となったその町の若い警察署長が、事件の捜査に加わるべく、ボストンへ出て行く話。
血なまぐさいエピソードで始まり、相当ハードな話かと思いきや、意外に地味な展開。田舎町から出て来た、警官としての訓練をほとんど受けていない署長が、ボストンでの警察捜査に振り回される姿と、犯人と目されるボストンの大物犯罪者の尻尾をつかもうとする地味な捜査を、淡々と描いていく。あまり明るい雰囲気もない。
そうはいっても、所々に劇的な展開が挟まって、一本調子ではないので、かなり読ませる。署長自身、複雑な過去を抱えた人間で、それが次第に事件と絡んでくる過程が興味深い。
事件の真相は、割と見当がつきやすいので、帯の「驚愕のラスト」というのはフカシだと思うが、作者は結末に向けて、きっちり話を組み立てているし、読み終わった所で、それがはっきり分かるんだな。安い売り文句とは関係なく、見事な結末だと思う。
署長を始めとした、人物造形もしっかりしていて、印象的な登場人物が多い。特に署長の両親が鮮やかだ。

ちなみに本書は、警官が正義を名目に簡単に犯罪者を殺しちゃう小説へのアンチとして書かれているように思える。著者は元地方検事補だそうだから、その当時、そういう小説に不快感を持っていたのかもしれない、と思った。

原著刊行、邦訳とも2003年。
(2012.4.28)

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