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感想 「世界の陰謀論を読み解く」

「世界の陰謀論を読み解く」 辻隆太朗 講談社現代新書
5月に読んで、読み放しになっていた。

これに先行して「謀略史観」という本を読んでいたが、多分この本と勘違いしていた。本書はユダヤ人とかフリーメーソンとかイルミナティとか、トンデモ陰謀話によく登場するネタを解説しているが、「謀略史観」の時、こういう内容だと思って読んでいたから、なんか違うな、おかしいなと思ってしまった(^^;)。似たようなタイトルの本が同じ時期に出たから…。

フリーメーソンやイルミナティという名前しか知らないような組織のことや、カルトに関するいろいろな知識について、知ることが出来たのは良かった。

また、謀略論が生まれて、受け入れられていく過程が解説されているが、たいていの謀略論は(対立しあう主張であっても)構成するパーツは同じという部分が、目新しかった。要は、何が黒幕だろうが、話に整合が取れていなかろうが、うまくいかないことを誰かのせいに出来ればいいというのが謀略論の根幹にある、ということなんだろう。
謀略があると思い込んじゃってる人間は思わせとけば、というわけにも、いかないようだ。謀略論が広まることで、いろんな問題が生まれているし、オウム真理教の一連の事件も、そういう流れの一つとして捉えられるわけだから。
ただ、問題はどこまでがトンデモな謀略論で、どこからが現実なのかが、とても見えにくいことだ。それこそ、原発をめぐる色んな動きを見ていても、常識で考えたらそんなことはありえなそうと思えることが、事実だったりする。自分が思い込んでることが、既に謀略論の一部だということだって、十分ありうる。
著者も、見分けることの難しさは分かっているから、あんまり歯切れのいい結びにはなっていない。自分が信じたい情報、信じやすい情報に出会った時に、立ち止まって、それを疑ってみること、自分の判断が正しいかどうかを常に考えてみること、というのが結論のようなもので、それは自分が謀略論に取り込まれないための自衛策としては、ある程度有効だと思うけれども、世の中に広まった謀略論を何とかするという観点からは、あまり役に立たない気がする。
(2012.5.15)

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