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感想 「パンチョ・ビリャの罠」

「パンチョ・ビリャの罠」 クレイグ・マクドナルド 集英社文庫
墓から盗まれて行方不明になっていたパンチョ・ビリャの首を手に入れた作家が、その首の争奪戦に巻き込まれる話。
争奪戦に絡んで来るのは、癖の強い悪党、というよりは、極悪人の類で、ロス・トーマスやウエストレイクのこの種の話の比じゃない殺伐ぶりだが、そいつらも強面の割に案外マヌケで、憎めないキャラだったりする。主人公の作家も筋金入りで、そういう極悪人と対等にやり合うような人物だから、巻き込まれ型のサスペンスを読んでいるような陰鬱な気分にことはなく、あっちとこっちのやり合いや化かし合いの華々しさに引き込まれちゃう感じだった。基本的にはリアリティ抜きのゲテモノ犯罪小説だと思う。不条理コメディぽい雰囲気も含めて、楽しめた。
オースン・ウェルズやマレーネ・ディートリッヒ、ブッシュ一族など、実在の人物がストーリーに絡んで来る所は、カミンスキーのトビー・ピータースものを思わせる。ただ、そういう要素がこの小説に必須かというと、そうでもないように思えるわけで、殊更にそんな、という気がするのだけど、アメリカ人にとっては、これはこれでウケるポイントなのかも知れない。この作品はシリーズ化されているそうで、以降の作品もそういう要素が強いようだし。ただ、そういう部分があるせいで、俺には、なおさらキワモノぽい小説に見えてしまったのは確か。

ちなみに、タイトルに引かれてなんとなく読んだんだけど(矢作俊彦の「悲劇週間」以来、メキシコ革命周辺はちょっとツボなので)、素直に「パンチョ・ビリャの首」でいいような気がした。なんで罠なの?という感じ。原題は「HEAD GAMES」。

2011年に邦訳が出た本らしい(原著刊行は2007年)。全然知らなかったが、去年の話題作とかだったのかな?
(2012.7.25)

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