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感想 「キスカ島 奇跡の撤退 木村昌福中将の生涯」

「キスカ島 奇跡の撤退 木村昌福中将の生涯」 将口泰浩 新潮文庫
円谷英二が関わった特撮映画でも、戦争ものは、元々戦争映画には興味が薄いこともあるんで、全く見てないが、「太平洋奇跡の作戦 キスカ」は一度見てみたいと思ってた。先日木場で、円谷が関わった別の戦争映画「青島要塞爆撃命令」の撮影用模型などを見たこともあって、連想が働いて、本屋で見掛けたこの本を読んでみた。

中心に書かれているのは、アリューシャン列島のキスカ島で、玉砕寸前の日本軍5000名以上をアメリカ軍の鼻先から、全員無事に撤退させたという、太平洋戦争末期の出来事。日本軍らしくない話だと、ずっと思っていたが、いろいろないきさつが重なって、強引にでも救出作戦をしないといけない状況になっていた、ということが分かった。それ自体が、既に奇跡だったような感じ。
一方で作戦の成功は、かなり奇跡的な出来事ではあるけれども、指揮を執った、本書で生涯をたどっている木村昌福中将や、その他の関わった人たちの努力や人間性があっての奇跡だ。日本軍だって、まともなことをやろうと思えば出来たんだな。でも、多くの場面で人命を無駄に消耗することしか出来なかった。それに、木村は、日本軍の中にあっては、やはり特異な存在だったように思える。
組織が人を大切にしない、そういう国なんだな、ということを、今の日本で起きている、いろんなこと(原発のこととか、米軍基地のこととか、いろんな組織のいろんな不祥事のこととか)に照らし合わせて思うけれども、木村みたいな人が居て、そういう人物に協力出来る人もいる以上、そういう国、という言葉で済ませてしまってはいけないんだろう、とも思う。
著者が、インパールの作戦の無能な指揮官のことを書いて暗澹とした気持ちになった後、木村について書こうと思い立ったのも、そういう気持ちがあるんだろうな。

それにしても、木村のような人物が存在出来ていたということは、日本軍もそれなりに懐の深さのある組織ではあったということなのかな。多分、大きい組織の中には、そういう場所「も」あった、ということなんだろうが。

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