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感想 「砂漠の豹イブン・サウド」

「砂漠の豹イブン・サウド」 ジャック・ブノアメシャン 筑摩書房
古本屋で100円で売ってたのを見て、なんか面白そうな気がしたので買ってみた。イブン・サウドが何者かも知らずに(^^;)

イブン・サウドは、20世紀前半にサウジアラビアを建国した王様だそうで、この本は彼の伝記だが、その話に入る前に、氷河期まで遡って、アラビア半島というのはどういう所で、アラビア人というのがどういう風に形成された人たちで、アラビア人の中で生まれたイスラム教はどういう宗教で、アラビアが世界史の中でどういうことをしてきたか、ということを延々と語っていく。なかなか壮大で面白いし、よくわかる解説になっている。こういう本で勉強してれば、中近東の歴史も、かなり頭に入りやすかったに違いない。
アラビア人の原型がこういうものなら、日本人に理解出来なくても何の不思議もないし、日本でイスラム教が流行らないのも仕方ない気がする。文化の背景が違い過ぎる。

伝記の方も大したもんで、家柄以外何もない状態から、アラビア半島全土の王まで登りつめ、しかも、石油が発見される幸運にも恵まれ、オイルマネーで国内を空前の繁栄に導いたという話。日本だったら戦国時代くらいまではありそうな話だが、アラビア半島は20世紀前半でもそういう時代だったということか。そうは言っても現代に近い話なだけに、前段のアラビア史ほどの壮大さはないが。
イブン・サウドは軍事的な能力も高かったんだろうが、欧米の国々を向こうに回した駆け引きや、大局観にも長けていたという印象。同じ時代に周辺の国に居た権力者が軒並み倒れているのを見ると、やっぱり傑出した人物だったんだろう。周辺の国では、その次の世代の権力者たちが、バタバタ倒れる「アラブの春」が起きてるが、サウジアラビアは? イブン・サウド亡き後、迷走し始めたらしいが、そんなに騒ぎが起きているという話は、聞かないね。イブン・サウドの遺産が力を残しているということなのか?

サウジアラビアとアメリカの結びつきの強さとか、今のアラブの国同士の力関係とかの背景も、理解出来る本で、衝動買いにしては、随分拾い物だった。
(2012.9.1)

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